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漫画やアニメの第一印象を左右する要素のひとつが、キャラクターの「顔」です。
もちろん、物語の内容やセリフ、行動もめちゃくちゃ大事です。とはいえ、初見で「このキャラ、なんか好きかも」と思ってもらえなければ、そもそも中身まで見てもらえない可能性もあります。
ドラマや映画が美男美女をそろえがちなのも、まあ理にかなっているわけですね。
ということで今回は、心理学の「顔から受ける第一印象」の研究を参考にしつつ、読者に好かれやすいキャラの顔の特徴4選を考察します。
参考にするのは、レズリー・A・ゼブロウィッツ教授のレビュー論文「First Impressions From Faces」です。ただし、この研究は現実の人間の顔に対する第一印象を扱ったもので、二次元キャラクターの人気を直接調べたものではありません。
また、「顔を見れば本当の性格がわかる」という話でもありません。あくまで人は顔から、かなり素早く、しかも半ば自動的に印象を作ってしまうという話です。キャラデザの参考程度にどうぞ。
童顔
好かれやすい顔の特徴その1は、童顔です。
心理学では「ベビーフェイスネス」と呼ばれることがあり、赤ちゃんっぽい顔立ちをした大人は、そうでない顔よりも「温かい」「正直そう」「無邪気そう」「攻撃性が低そう」といった印象を持たれやすいとされています
童顔に見えやすい特徴は、ざっくり言うと以下のようなものです。

- 大きな目
- 丸い顔
- 小さめの鼻
- 短い、または小さめのアゴ
- 広めのおでこ
- 顔のパーツがやや下に寄っている印象
赤ちゃんが備えている特徴に近いほど、見る側は「かわいい」「守ってあげたい」「悪い人ではなさそう」と感じやすいんだとか。
女性キャラは「親しみやすさ」「かわいさ」を出しやすい
萌えキャラやヒロインの顔立ちが、実年齢より幼く見えることはよくあります。
大きな目、小さな鼻、丸い輪郭、短いアゴ。こういった要素は、読者に「かわいい」「優しそう」「親しみやすい」という印象を与えやすいので、第一印象で好感を取るにはかなり強い武器になります。
もちろん、幼くすれば必ず人気が出るわけではありません。大人っぽい女性キャラ、クールな女性キャラ、強そうな女性キャラにも魅力はあります。
ただ、「守ってあげたくなる」「近づきやすい」「初見でかわいい」と感じさせたいなら、童顔の要素はかなり使いやすいでしょう。
童顔男性キャラは「弱そうに見える」
一方で、男性キャラを童顔にすると、親しみやすさは出しやすいものの、「強そう」「支配的」「頼れそう」といった印象は弱まりやすくなります。
この性質は、キャラづくりではかなり便利です。
- 下っ端キャラを幼い顔立ちにして、小物感を出す
- 主人公を幼い印象にして、「弱そうに見えるがじつは勇敢」というギャップを作る
- かわいい系男子、弟キャラ、守られキャラとして親しみを出す
逆に、威圧感やカリスマ性を出したい男性キャラなら、アゴを強めにしたり、眉や目元をシャープにしたりして、童顔要素を少し減らすとよさそうです。
慣れた顔・わかりやすい記号
好かれやすい顔の特徴その2は、見慣れた顔・わかりやすい記号です。
ゼブロウィッツのレビューでは、人は知らない顔を見たときにも、「見慣れた人に似ている」などの手がかりから、印象を作ってしまうと説明されています。
たとえば、メガネのキャラに「知的」な先入観を持つ方は多いんじゃないでしょうか。
自分はスネ夫みたいなキツネ目のキャラを見ると、「傲慢でズル賢そうだな」という印象をつい持ってしまいますね。
こういう印象は、研究で直接「メガネ=知的」と証明されたというより、作品や文化のなかで繰り返し学習されたキャラ記号と考えるほうがよいでしょう。
つまり、すでに読者が知っている記号を使うと、第一印象をかなり素早く伝えられるわけです。
ステレオタイプの例
よくも悪くも、世に浸透している顔の記号には、以下のようなものがあります。
- メガネをかけている人は、頭が良くて温厚そう
- 表情が険しい人は、頑固そう
- つり目の人は、攻撃的、またはズルそう
- たれ目の人は、優しそう、または腹黒そう
- 丸顔の人は、親しみやすそう
- アゴや眉が強い人は、意志が強そう
髪型にもステレオタイプがあります。
たとえば、「幼く見せたいなら二つ結び」「強面に見せたいならスキンヘッド」などは、キャラの特徴づけの鉄板ですね。
萌え系のキャラが似たような顔立ちに平均化していくのも、読者が見慣れた記号を取り入れることで、安心感やジャンルらしさを出しやすいからかもしれません。
ただし、記号に頼りすぎると「どこかで見たキャラ」になりやすいので、定番要素にひとつズレを入れるのがおすすめです。
たとえば、知的なメガネキャラだけど体育会系、たれ目で優しそうだけど実は策士、幼い顔なのに戦闘力が異様に高い、みたいなギャップですね。
健康的で若々しい顔
好かれやすい顔の特徴その3は、健康的で若々しい顔です。
顔の第一印象研究では、健康そうに見える顔、若々しく見える顔、肌がなめらかに見える顔は、好意的な印象につながりやすいとされています。
たとえば、以下のような要素です。
- 肌にハリがある
- 顔色がよい
- 目に光がある
- 疲労感が少ない
- シワやほうれい線が控えめ
- 清潔感がある
研究では、肌のなめらかさや肌トラブルの有無が、健康さ、魅力、信頼性、能力などの印象に影響することも報告されています。
なので、キャラクターを「好感度高め」に見せたいなら、顔色を明るくしたり、目元に疲労感を出しすぎないようにしたり、肌や輪郭に清潔感を持たせたりするとよさそうです。
顔だけでなく全身の印象まで含めるなら、「ほどよく鍛えた体」「姿勢のよさ」「活力のある表情」なども、健康そうな印象を上げるのに役立ちそうだなーと思います。
もちろん、ほうれい線バリバリのじいちゃん、ばあちゃんでも、魅力的なキャラクターはいくらでもいます。
むしろ、年齢を重ねた顔には「経験」「貫禄」「渋さ」「安心感」という別の魅力があります。若々しさはあくまで、初見で好感や親しみを取りにいくための手段のひとつです。
ポジティブな表情
好かれやすい顔の特徴その4は、ポジティブな表情です。
「嬉しそう」「楽しそう」「安心していそう」な表情は、見る側にポジティブな印象を与えやすくなります。
そりゃー、いつも怒っていたり、悲しんでいたりするキャラよりも、笑顔で幸せそうなキャラクターのほうが、第一印象では近づきやすいでしょう。
顔の印象研究でも、笑顔っぽい手がかりは信頼性や接近しやすさの判断に関わるとされています。
左にムスッとした表情、右に明るい笑顔のキャラを並べたら、多くの人は右のほうに好感を持ちやすいはずです。

険しい表情のキャラには、表情豊かな「ピエロ」をセットに
とはいえ、クールで険しい表情が魅力的なキャラもいます。
たとえば、「ジョジョ」の承太郎や「闇金ウシジマくん」の牛島社長のように、笑顔をあまり見せないからこそカッコいいキャラもいるわけです。
そういったキャラの場合は、周囲にピエロのような表情豊かなキャラを配置するといいかもしれません。
ジョジョならジョセフやポルナレフ、ウシジマくんなら江崎など。表情豊かなキャラが近くにいることで、無表情キャラの感情が間接的に伝わりやすくなります。
クールキャラ本人がずっと無表情でも、周囲のリアクション役が驚いたり、焦ったり、笑ったりすることで、場面全体の感情が読者に伝わるわけです。
まとめ
読者に好かれやすいキャラの顔を考えるなら、使いやすいポイントは以下の4つです。
- 童顔:かわいさ、親しみやすさ、守ってあげたさを出しやすい
- 見慣れた顔・記号:読者が一瞬でキャラの役割を理解しやすい
- 健康的で若々しい顔:清潔感、活力、好感を出しやすい
- ポジティブな表情:近づきやすさ、信頼感、明るさを伝えやすい
ただし、どれも絶対ルールではありません。
顔から受ける第一印象は強力ですが、それはあくまで入り口です。最終的にキャラを好きになってもらえるかどうかは、行動、セリフ、葛藤、成長、物語内での役割によって決まります。
なので、顔で興味を引き、性格と行動で好きにさせる。
この順番で考えると、キャラデザと物語づくりの両方に使いやすいんじゃないでしょうか。
- ※1 Leslie A. Zebrowitz(2017)「First Impressions From Faces」Current Directions in Psychological Science, 26(3), 237–242. https://doi.org/10.1177/0963721416683996
- ※2 Diane S. Berry & Leslie Z. McArthur(1985)「Some Components and Consequences of a Babyface」Journal of Personality and Social Psychology, 48(2), 312–323. https://doi.org/10.1037/0022-3514.48.2.312
- ※3 Clare A. M. Sutherland et al.(2018)「Facial First Impressions Across Culture: Data-Driven Modeling of Chinese and British Perceivers’ Unconstrained Facial Impressions」Personality and Social Psychology Bulletin, 44(4), 521–537. https://doi.org/10.1177/0146167217744194
- ※4 Bastian Jaeger et al.(2018)「Effects of Facial Skin Smoothness and Blemishes on Trait Impressions」Perception, 47(6), 608–625. https://doi.org/10.1177/0301006618767258
- ※5 Janine Willis & Alexander Todorov(2006)「First Impressions: Making Up Your Mind After a 100-Ms Exposure to a Face」Psychological Science, 17(7), 592–598. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2006.01750.x
- ※6 Yuiko Sakuta(2022)「Face-to-trait inferences in Japanese children and adults based on Caucasian faces」Frontiers in Psychology, 13. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.955194
- ※7 Bastian Jaeger et al.(2024)「Testing perceivers’ accuracy and accuracy awareness when forming personality impressions from faces」European Journal of Personality, 38(6). https://doi.org/10.1177/08902070231225728

