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「絵は描けば描くほど上手くなるからガンガン描け!」というアドバイスをよく耳にします。
もちろん一定の説得力に疑いはないものの、努力の方向が間違ったまま練習しても、望んだ成長が得にくいのもまた事実。
- リフティングが上手くなってもサッカーの試合で活躍はできない…一見近いようで見当違いのスキルを積み上げても目的に近づかない
- まったく負荷がないダンベルで筋トレしても筋肉は成長しない…上達に合わせて負荷を変えないとスキルは伸びない
では具体的にどんな練習法をすれば上達しやすいのか?
今回は上達研究の権威アンダース・エリクソンの研究などをベースに「科学的に正しい(と思われる)イラスト練習法5選」を考察します。
ちなみに私が以前「お絵かき講座パルミー」を1カ月実験したときも、今回紹介する練習法を用いました。以下が「ビフォア→アフター」ですが、1カ月の練習にしては結構上達してるように見えるのではないかと。

なお、参考文献は文末「6 一歩先を行く『練習法』が学べる本3冊」にまとめます。気になる方は個別に買って読んでみてください。
1 練習時間は1日20分以内からスタート
最初は15〜20分程度の小さな練習から始めるのが現実的です。
理由は単純で、いきなり高い目標を掲げてしまうと挫折する率が上がってしまうから。
筋トレ初心者で5キロのダンベルも持ち上げられない人が無理して20キロのダンベルを持ち上げようと怪我してしまうのと同じですね。
筋トレなら「そりゃそうだろ」と思えることでも、僕らはなぜか頭脳労働ではそんな無茶な計画を平気で立ててしまいがち。
てことで練習はまず1日15分程度からスタート。慣れてきたら徐々に5分ずつ伸ばしていくと良いでしょう。
それでも挫折防止のために1日の上限は1時間程度にしておくといいのではないかと思います。それぐらいの時間ならフルタイムで働く人でもギリギリ毎日確保できそうですし、いざ達成できなかったときの挫折感や敗北感を和らげることができるのではないかと思います。
2 何をどう学ぶのか明確にする
「練習」は、課題を設定して問題点を克服するために行わなくては上達に繋がらないとのこと。
てことで、次のステップでは「15分で何をどう学ぶのか」を明確にしましょう。
たとえば「目の描き方を練習するぞ」のようにザックリした目標ではなく「女の子の目のハイライトの反射を上手に表現するのが苦手だから練習をしよう」てな感じで「何を→どのように」という所まで意識して練習するとナイス。
ちなみにエリクソンさん曰く、これを「意識的練習」といいます。
3 上手くできたこと、失敗したことを記録し分析する
意識的学習では「上手くできたこと」「失敗したこと」を記録し分析することもおこないます。
たとえば先ほどの「女の子の目のハイライトを練習する」という場合は次のような感じ。

- 目的を意識して絵を描いてみる
- 上手く描けた箇所があるなら「なぜ上手く描けてるのか」分析する
- 上手く描けなかった箇所があるなら「なぜ上手くいかなかったのか」分析する
- 分析できない場合は参考資料と見比べてみる
同じミスを繰り返さないようにするために、記録と分析をおこなうわけですね。
ちなみに、参考資料を見ても「どこが間違ってるか」を自力で発見するのはかなりむずかしいので、その場合は「5 優秀な指導者からフィードバックをもらう」を活用するのが吉です。
4 少しずつ変化を加えて複数のスキルを学習
1つの練習だけを延々と繰り返すより、関連するスキルを交互に混ぜて練習するほうが、あとで使い分ける力が伸びやすいとされています。
これは心理学で「インターリービング学習」と呼ばれる練習法で、たとえば野球の投球練習なら以下のような感じ。
- NG:ストレートのみを練習する
- OK:ストレート→カーブ→スライダーのように少しずつ異なる技術を練習する
イラストに応用するなら
- 「線画のみ練習」ではなく「ラフ画→線画→カラー」を描く
- 「人物のみ練習」ではなく「人物→小物→背景」を描く
- 「美少女」だけでなく「美少女→おじさん→動物」など色々描く
みたいに、少しずつ変化を加えた練習をおこなう感じですね。
そういえば語学堪能で有名なサッカー元日本代表の川島永嗣さんが、若い頃に語学を学んだ際に「英語の勉強→壁にぶつかって飽きたらポルトガル語の勉強→次はイタリア語→」のようにちょくちょく学ぶ対象を変えていて、ふとしたときにそれぞれの共通点が見つかって一気に理解が深まったという話をしていたような気がします。
5 優秀な指導者から常にフィードバックをもらう
上達に最も欠かせないのが「優秀な指導者からのフィードバック」だそうです。
意識的な練習には「自己分析」が不可欠ですが、人の脳は自分を客観的に見るのが苦手なので、自力で間違いを分析するのはかなりむずかしい。
そこで古今東西用いられているのが「指導者によるフィードバッグ」。イラストで言うなら「添削サービス」などです。
まぁ優れた添削サービスは有料なのが当たり前なので予算が必要にはなりますが、それに見合う成果は期待できるのではないかと。
自分は利用したことありませんが「お絵描き講座パルミー」などでイラスト添削サービスが行われているので、興味あればご参照くださいませ。
6 一歩先を行く『上達法』が学べる本3冊

恒例の一歩先をゆくスキルが身につくオススメ本紹介コーナーです。
今回は「効率的な上達法」が学べる本をピックアップしました。
マンガでわかる ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣
マンガでわかるジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣
何かスキルを得たいのなら、やっぱこの思考が欠かせないかなと。
RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる
ビル・ゲイツが絶賛したことで話題になった本で、1つのことを極めようとするより多角的に色々身に着けた人の方が強いという事例が山ほど紹介されています。
「練習法」に特化した本ではないものの「巷のわかりやすい教材などが役に立たない理由」がガッツリ学べるので、練習に対する根本的な考え方に革命を起こすことができるのではないかと。
超一流になるのは才能か努力か?
本日の引用元となった論文の著者アンダース・エリクソン博士の本。
物事の上達ってそもそもどんなプロセスが必要なの?ということが勉強になります。事例は音楽やスポーツが多めですが、イラストにも応用できるのではないかと。
以上です。
- Choudhry, N. K., Fletcher, R. H., & Soumerai, S. B. (2005). Systematic review: The relationship between clinical experience and quality of health care. Annals of Internal Medicine, 142(4), 260–273. DOI: 10.7326/0003-4819-142-4-200502150-00008
- Ericsson, K. A., Prietula, M. J., & Cokely, E. T. (2007). The making of an expert. Harvard Business Review, 85(7–8), 114–121, 193.
- Rohrer, D., Dedrick, R. F., & Stershic, S. (2015). Interleaved practice improves mathematics learning. Journal of Educational Psychology, 107(3), 900–908. DOI: 10.1037/edu0000001
- Wymbs, N. F., Bastian, A. J., & Celnik, P. A. (2016). Motor skills are strengthened through reconsolidation. Current Biology, 26(3), 338–343. DOI: 10.1016/j.cub.2015.11.066
- Ericsson, K. A., Krampe, R. T., & Tesch-Römer, C. (1993). The role of deliberate practice in the acquisition of expert performance. Psychological Review, 100(3), 363–406. DOI: 10.1037/0033-295X.100.3.363
- Macnamara, B. N., Hambrick, D. Z., & Oswald, F. L. (2014). Deliberate practice and performance in music, games, sports, education, and professions: A meta-analysis. Psychological Science, 25(8), 1608–1618. DOI: 10.1177/0956797614535810

